黒井千次の『たまらん坂』
去年の十月、たまらん坂(多摩蘭坂)に行きました。
多摩蘭坂を知ったのはRCサクセション同名の曲がきっかけ。1990年代に行ったことがあるはずなんだけど、疲れ切っていたせいもあって印象が全く残っていなかった。
坂自体は全く大したことのない坂(こんな評価をするのは自転車乗りであるが故だから許して欲しい^^)なんだけど、取りあえず「あの」多摩蘭坂に行ったんだから満足だった。
それからしばらく時を経た最近。ちょっと黒井千次について調べることがあった。黒井千次は大学生時代に『群棲』を読んだことがあるだけ。潜り込んでいた文学部の授業で庄野潤三と一緒に取り上げられてた。『群棲』はそれなりに面白かったものの、黒井千次の本をまとめて買うことはなかったな。他には一作品ほど読んだくらい。
それが今回、黒井千次に「たまらん坂」という短編集があるのを発見。しばらくの積ん読の後、今日引っ張り出して表題作を読んでみた。すると驚くことにモチーフのひとつに RC の「多摩蘭坂」が取り上げられてるではないですか。
「こんなに新しい話かよ」と、大いに驚いて『群棲』の出版年を確認するとなんと1984年。む〜ん。内容から70年代か、もしかすると60年代の話だと思っていたんだよなあ。じじい化する自分の年齢にあっては、1984年というのは「ついこの間」の話だし。
ちなみに『たまらん坂』の表題作は結構面白かった。帯には「武蔵野幻想行」とも書いてある。都内の自転車乗りは興味の持てる話が掲載されているかもしれませんね。
たまらん坂 武蔵野短篇集 (講談社文芸文庫)
posted with amazlet at 09.02.16
おすすめ度の平均:
地名が触発する群棲 (講談社文芸文庫)
posted with amazlet at 09.02.16