道の駅「道志」から山中湖までかかる時間は? 〜 Part III

へばる女Part IPart IIからの続き。

最初に峠に登った彼女はこんな感じだった。登りのほとんどを押して登った刈場坂峠。押しても疲れるのは疲れるらしい(笑)。

それが速度を無視すれば刈場坂も登れるようになったし、平地巡航速度も大いにあがってる。パレサイでは一緒に 100rpm くらいで回す練習をこなすようにもなった。「ロードレーサーが速い乗り物だとわかってきたかい?」の問いには「うん」と。平地を 30km/h くらいで引いてもついてくるようになった(その後で「もうちょっと遅めで…」と頼んでくるけど^^)。

ある程度、自信ももった彼女は「道志みち」と聞いてもチャレンジする気持ちこそあれ、恐怖する気持ちはなかったようだった。道志みち途中の「斜度10%」と書かれたトンネルへの道もきっちり走った。

ただ彼女。まだ「必死」ではあるんだよな。それを感じたのはそろそろ道の駅「道志」に到着し始めた頃。このあたりは基本的に登りなんだけど、彼女の速度がみるみる遅くなる。しかもここにくると下りでも速度を上げなくなる。実はこれ、後ろからついてる人間にとっちゃ辛いんだよね。こっちも「登りのスペシャリスト」ってわけじゃなく(あたりまえ)、下りで稼いだ速度でラクして登りたいと思ってる。しかしブレーキばかりを使う彼女の後ろについていてはそれも適わない。

なんで回さねえんだっ」と怒鳴りつけたくなったりもする。しかし優しいぼくのこと。怒鳴りつけるなんてとんでもない。それで彼女を置き去りに、道の駅「道志」に先行した(笑)。

実はここ、彼女にとってみれば前にも叱られた場所でもある。「ああ、まただ」と彼女は思ったそうだ。「置いていかれちゃった」と。実はそこから道の駅までは2、3km の距離。漕ぐうちに道の駅を発見した彼女。前にも一度、道坂峠経由で来たときに入っているところ。ところが彼女はテンパってしまって記憶が欠落してる。入り口が山中湖よりにあるのに通り過ぎてしまったと勘違いし、しかもぼくが待っていないことでパニックになりかけたらしい。

絶望感に捕らわれつつ惰性でクランクを回していると、そこに当然待っている優しいぼくとの合流となった。

道の駅到着がちょうど昼くらい。昼飯を食って休憩。そこでパニックのおさまった彼女に、ぼくの秘めたる予定を伝えた。「あのさ、もうここから戻ってもいいよ」。わけのわからない彼女。「今日さ、帰りも自走なんだよ。だから道志みちを戻ってもいいし、あるいは山中湖を半周して大月方面から峠をもう一個超えて戻ってもいい。どっちにする?」。

「やった、道の駅まで自走で来られた!」「今日の私は頑張ってるよね!」と舞い上がっていた彼女。この瞬間に呆然とした表情を見せる。それでも彼女の判断は正しかったな。道志みちを戻ればもうエスケープは不能。きっちり東京まで自走で戻らなくちゃならない。だけど大月方面を回るなら、大月から輪行エスケープできる可能性もある。

「あの、大月方面経由でお願いします」。彼女のその言葉を受けて、前回大いに苦労した山伏峠に向かうことになった。道の駅出発は13時。ついでだから山伏峠を登るのにどのくらいかかるのか、ちゃんと時刻を意識しておくことにした。

ぼくの予想では1時間(距離は大したこともないんだけど)。彼女が押しても押さなくても、たぶんそのくらいだろうと考えた。するってえと山中湖到着が14時過ぎ。そこから山中湖を半周して、休憩を挟んでも 15時くらい。大月方面から東京へのルートを通ったことはないんだけど、たぶんなんとか自走で帰ってこられる明るさはあるだろう。都心に入ってしまえば道も明るいはず。

せっかくおさまったパニックが再燃し、「私、どうなってしまうんだろう」と思い始めた彼女とともに山伏峠に向かった。

… 最終回、Part IV に続く。

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